学資保険とは?仕組みはどうなっている?必要性や選び方のポイントを簡単に解説
学資保険の仕組み
学資保険は、子供の教育費を準備するための貯蓄機能を持った保険です。
学資保険の保障内容
学資保険の具体的な保障内容について解説します。
子供の進学などの節目に満期金を受け取れる
子供が一定の年齢になったら満期保険金を受け取れることは、どの学資保険にも共通している機能です。一般的に満期は、子供の大学進学に合わせて設定されています。保険会社や商品によっては、高校進学などの節目の年齢に祝い金が受け取れるものもあります。
親の死亡時に保険料の払い込みが免除される
学資保険の契約者(親)が亡くなると、それ以降の保険料の払い込みが免除されます。その場合でも、祝い金や満期保険金は契約通りに受け取れます。親が万が一のときでも教育資金を確保できる点が、預貯金などにはない特徴です。
貯蓄型と保障型
学資保険には貯蓄を重視した「貯蓄型」以外に、子供の医療保障などが付いた「保障型」があります。
保障型の保障内容は、子供の入院・死亡、親の死亡(死亡保険金)などです。子供の病気やケガ、死亡のリスクに備えたい場合には、選択肢の1つとなるでしょう。ただし、貯蓄型に比べて保険料が高くなり、満期時に受け取る保険金が少なくなる場合があることには注意が必要です。
配当金ありと無配当
学資保険には、配当金があるタイプと無配当タイプがあります。配当金とは、契約者から預かった保険料を保険会社が運用し、利益の一部を還元する仕組みです。配当金のある保険は無配当に比べて、保険料が高い傾向があります。
教育費の相場
子供の教育費で最大の支出を伴うのが、大学進学の費用です。大学入学から卒業までにかかる費用はいくらくらいなのでしょうか。
大学の入学費用と在学費用
以下は、大学の入学費用と1年あたりの在学費用を表にまとめたものです(卒業までの費用は短大2年分、大学4年分で算出)。
入学費用 | 在学費用/年 | 卒業までの費用 | |
私立短大 | 59.1万円 | 176.9万円 | 412.9万円 |
国公立大学 | 77.0万円 | 115.0万円 | 537.0万円 |
私立大学文系 | 95.1万円 | 152.1万円 | 703.5万円 |
私立大学理系 | 94.2万円 | 192.2万円 | 863.0万円 |
出典:日本政策金融公庫令和2年(2020年)度「教育費負担の実態調査結果」より筆者作成
計画的な資金準備の必要性
大学の場合、自宅外から通学する場合もあります。上記の日本政策金融公庫のデータによると、自宅外通学の平均仕送り額の平均は年間90.3万円です。
つまり、私立大学に進学し親元から離れて下宿する場合、4年間で1,000万円以上の費用がかかることになります。
子供が生まれたら、できるだけ早く教育資金を含めたマネープランを立てることが大切です。大学入学までに準備する教育資金や、住宅取得との兼ね合いなどを夫婦でよく話し合いましょう。
学資保険のメリット
学資保険で教育資金を準備するにあたり、知っておきたいメリットとデメリットを解説します。
学資保険のメリット
学資保険のメリットには、以下のようなものがあります。
契約者が亡くなっても教育資金が確保できる
学資保険の契約者である親が亡くなった場合、それ以降の保険料を支払わなくても祝い金や満期保険金が受け取れます。保険としての役割があるため、いざというときに教育資金が確保できる点は学資保険の大きなメリットです。一般的に保険料の払い込み免除は契約者の死亡の他に、保険会社によって定められた高度障害状態も対象になります。
確実に教育資金を貯められる
学資保険に加入すると保険料が自動的に引き落とされるため、確実に教育資金が貯まります。また、基本的に満期までお金を引き出すことはできません。自由に出し入れできる預貯金では、なかなかお金が貯められないのではないでしょうか。貯蓄が苦手な人にとって、強制的に保険料が引き落とされる仕組みは強い味方になります。 学資保険を中途解約すると、払い込んだ保険料を下回る金額しか戻らないことがほとんどです。特に加入してすぐの解約では戻り金があったとしても、ごくわずかになります。解約して別の保険に乗り換える場合など、元本割れすることを頭に入れておきましょう。
契約時に満期保険金が決まる
学資保険の満期保険金は契約時に決まり、変わることはありません。中途解約さえしなければ、想定した通りのお金が準備できます。投資信託などで運用すると、将来準備できる金額はわかりません。その点、学資保険での教育費の準備は、資金計画が立てやすい方法です。
学資保険の必要性
以上のことを踏まえ、学資保険が必要かどうかを考えてみましょう。 子供を大学まで行かせようと考えるなら、何らかの方法で教育費を準備する必要があります。その場合、他の選択肢もあり、学資保険に限定する必要はありません。しかし、学資保険には親の死亡時にも教育資金が準備できるという、他にはないメリットがあります。そのようなメリットを享受しやすい人にとって、学資保険は有効だといえます。
学資保険での教育資金準備に適した人
学資保険で子供の教育費を準備するのに適しているのは、次のような人です。
- 貯蓄が少なく、万が一の場合に教育費が足りなくなる見込みの人
- 貯蓄が苦手で、強制的にお金が貯まる方法が必要な人
学資保険が必要ない人
一方、以下のような人には学資保険は必要ありません。
- 万が一の場合にも、教育費に十分な蓄えがある人
- 外貨建て保険など学資保険以外での準備を優先したい人
学資保険の選び方3つのポイント
学資保険の加入を検討する場合に、確認すべきポイントについて解説します。
保険料に対する返戻率
学資保険選びでは、支払う保険料に対する祝い金や満期保険金の返戻率が最も重要です。返戻率が100%未満だと支払った保険料に対して元本割れを起こしていることになります。学資保険選びでは、できるだけ返戻率の高い商品を選ぶようにしましょう。
同じ保険商品でも年払いや全期前納払いを選ぶと、毎月払いより返戻率が高くなります。祖父母から教育資金の贈与を受けた場合などは、選択肢の1つになるでしょう。
子供の保障の必要性
先述した貯蓄型と保障型のどちらを選ぶかもチェックポイントです。それぞれにメリット・デメリットがあるため、一概にどちらが優れているとはいえません。自分は貯蓄を優先したいのか、保障も欲しいのかをよく考えましょう。保障型を選ぶと返戻率が下がり、元本割れを起こす可能性もあります。貯蓄を優先したい場合は、貯蓄型を選ぶとよいでしょう。
保険料の払い込み期間
一般的に、学資保険の契約者は保険料払い込み期間を選べます。保険料の払い込み期間は最長で満期(子供が18歳になるなど)まで、短い場合は10年などがあります。短期間で払い込みを終わらせるほど返戻率が高くなり有利です。たとえば、子供が生まれてすぐに加入して10年で払い込みが完了すれば、塾代などがかかるようになる中学生以降の家計にゆとりが生まれます。
学資保険以外で教育資金を準備する方法
ここでは、学資保険以外の教育資金を準備する方法を紹介します。
外貨建て保険
外貨建て保険は、保険料を日本円以外の通貨で運用する保険商品です。外貨建て保険では日本円より金利の高い、米ドルや豪ドルで運用されます。そのため、日本円だけで運用するより、高い貯蓄性が期待できます。
学資保険代わりにできる外貨建て保険
教育資金の準備に活用できる外貨建て保険には、外貨建て終身保険や外貨建て個人年金などがあります。このうち外貨建て終身保険は、被保険者の死亡時に保険金が支払われます。被保険者を親にすることで、死亡時にも子供に教育資金を残せます。
外貨建て保険のデメリット
円建てより高い利回りが期待できる外貨建て保険ですが、デメリットもあります。
主なデメリットには、為替リスクがあります。通常、外貨建て保険は外貨ベースでは元本割れしません。しかし、保険料支払い時、保険金受け取り時には為替変動の影響を受けます。保険金や解約返戻金受け取り時に為替が円高に振れた場合などに、元本割れを起こす可能性があります。ほとんどの保険会社では保険金や解約返戻金の外貨受け取りが可能です。一旦外貨で受け取り、円安になってから日本円に替えることもできます。
変額保険
変額保険とは、保険料を投資信託や株で運用し、運用成績に応じて保険金額や解約返戻金が変動する保険商品です。元本は保証されていませんが、運用がうまくいった場合には保険料を大きく上回るお金を受け取る可能性があります。
変額保険の種類
変額保険には有期型と終身型があります。有期型は保険期間が決まっているもので、満期時には満期保険金が受け取れます。終身型は終身保険と同じ、一生涯の保障が得られる保険です。どちらも長期で運用すると教育資金の準備に活用でき、被保険者の死亡時には死亡保険金が受け取れます。保険金額は運用実績によって変わりますが、死亡保険金には最低保証があります。
変額保険のデメリット
変額保険のデメリットは、元本保証ではないことです。お金を大きく増やす期待ができる反面、損失を被る可能性もあります。しかし、変額保険には投資のリスクを軽減する長期投資、分散投資、時間分散(積立)の仕組みが備わっています。少額から始めて、学資保険と併用するのも1つの方法です。
子供の将来のために学資保険の検討を
学資保険には、親に万が一のことがあった場合にも教育資金が確保できるメリットがあります。しかし、大きくお金を増やすことは期待しにくいため、他の選択肢とも比較して選びたいところでしょう。
外貨建て保険や変額保険には死亡保障もあり、リスクが受容できれば学資保険以上の貯蓄性が見込めます。学資保険との併用も含めて検討してみてはいかがでしょうか。
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